August 04, 2017

映画 「植物図鑑」

レンタルDVDで観たもの。
不動産会社で働くさやかは、恋もなく客や上司に叱られる毎日だったがある夜アパートの前で倒れている青年に声をかけられる。「ボクを拾ってくれませんか? 噛みついたりしません。しつけのできた良い子です」。あまりの出来事に思わず笑ってしまったさやかは彼を部屋に入れカップラーメンを与えシャワーを勧める。翌朝目を覚ますと別の部屋で寝ていた彼はキッチンで朝食を作り、さやかの弁当まで作っていた。最初の言葉通り指1本触れようとしない彼の誠意と食事のおいしさに思わず「ずっと居ていいよ」と言ってしまうさやかだった。
彼は植物に詳しく休みの日にはさやかを誘って河原に行き、写真を撮っては植物の説明をしてくれ料理してくれるのだが苗字も住所も言おうとせず、相変わらず指1本触れようとしない。ある日、さやかの嫉妬から始まった口論で互いの好意を確認した二人は初めて結ばれる。やがて「半年だけ置いてください」という言葉通り。ありがとう、と書いたメモと彼女の写真を残して彼は姿を消した。それから1年後、さやかに彼から大判の植物図鑑が送られてきた。撮影担当に彼の名前を見つけたさやかは出版記念パーティに駆けつけるがスピーチする彼が遠い存在に感じられ途中で会場を後にするのだった。
 
若い娘が見ず知らずの男を部屋に入れたりしないよ、と胡散臭く見始めたのだが題名通り河原で蕗やフキノトウなど食べられる植物を採取して彼が美味しく料理するシーンなどを見ているうちに、この青年ならいいかな、と思わせてしまうところがミソ。有川浩の原作らしくドロドロ感ゼロで爽やかな恋愛ファンタジーと言っていいだろう。一緒に見ていた女性の感想も「こんな青年拾えないかな」だった。
女性向けお勧め映画。
 
 
 
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July 13, 2017

映画 「湯を沸かすほどの熱い愛」

レンタルDVDで観たもの。
1年前に夫が出て行ったために経営していた銭湯を休業してパン屋で働く双葉だったが、末期がんで余命2か月と宣告され行動を起こす。まず探偵を雇って亭主の居所を捜し、連れ戻すと銭湯を再開させた。気の弱い娘にはさらに厳しく接し、自分の力でいじめを解決させた。そして最後に娘を連れて毎年贈り物を届けてくれる人に会いに出かける。
夫が戻ったとき、逃げられた相手の女の連れ子まで一緒だったが、彼女はその子にも分け隔てなく愛を注ぐのだった。母の病を知った娘は、その子と互いに母の前ではぜったいに泣かないことを約束する。
よくあるお涙ちょうだいの余命物かなと観ていたがストーリー展開が見事で驚くとともに涙を抑えきれなかった。とくに娘を演じる杉咲花の演技がほんとうにすばらしい。母の末期の病床で語りながら必死で涙を堪える演技はまだ10代とは思えない。素晴らしい女優だ。最後のシーンは(本当なら)映画のタイトルどおりなのだがこれはそれまでの重苦しい雰囲気を変えるためのお遊びととらえるほうがいいだろう。
何も知らずに借りたが二人でティッシュ箱半分を使ってしまった。主人公の双葉を演じる宮沢りえはさすがだが杉咲花の演技を見るだけでも価値がある。

 
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July 06, 2017

映画 「オケ老人」

レンタルDVDで観たもの。
高校の数学教師の千鶴は地元のアマチュアオーケストラの演奏を聴いて感銘を受ける。学生時代アマオケでヴァイオリンを弾いていたころを思い出しネットで名前を頼りに楽団名を調べて入団するが上の名前は同じでも彼女が聴いたのは○○フィルハーモニーで、入団したのは○○交響楽団だった。何年か前に○○交響楽団の主力メンバーが辞めて結成したのが○○フィルハーモニーだったのだ。老人ばかりが残ったオケは人数も少なく演奏以前の腕前だった。初めての指揮者まで任されていやになった彼女は楽団には内緒で猛特訓の末フィルハーモニーに入団するが今度はお荷物扱いにされてしまう。
予告編とかコミカル系の多い出演者からよくあるドタバタものだとたいしてして期待していなかったのだがお色気ゼロで目いっぱい働く主役の杏や脇役のうまさも相まって結構楽しく見ることができた。厳しいフィルハーモニーの練習でプルト単位から結局千鶴自身の腕前の非力さを浮き彫りにされるシーンはアマオケ経験者なら結構つらいだろうと思う。最後の演奏会のクライマックスで起きたトラブルを古参の電気店主が救うシーンが楽しい。
一般的ではないけれどアマオケが好きな人にはお勧めできる。
 
 
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July 01, 2017

映画 「銀の匙」

DVDをレンタルして観たもの。コミックで連載されているものを実写化したものだがアニメ版もテレビで放映されていたようだ。
進学校から落ちこぼれて酪農高校へ入った主人公が、他の多くの生徒は酪農家の子供で将来の道も決まっている中、夢を描けないまま慣れない動物たちと悪戦苦闘しながら次第に成長していく姿を描いている。とくに生まれたときから名前を付けてかわいがっていた子豚がやがて大きくなって売られていくことを知ってアルバイトで稼いだ金でその肉を買い取りベーコンに加工して食べるところがいい。ここで飼われている動物は、ペットなんかじゃなくて経済動物なんだ、という生徒たちの言葉を実感したのだ。豚の解体シーンはなかなかの見ものだが人が食べる物は他の生き物の命を頂いているということがよく分かる。
主人公は男子の人気アイドルグループの一員だが眼鏡をかけた真面目な風貌でなかなかの好演だ。銀の匙というのは、銀の匙を持って生まれてきた子供は一生食べるのに苦労しないという言い伝えからきたもの。「夢がない」という彼に校長は「夢が無いというのはこれから何にでもなれるということだ」と言う。名言だ。
この映画を見るとテレビなどでよく見る大食い競争とかやたらに大きく作った○○グルメなどというものがいかにむなしいかがわかる。どんな食品でも大変な苦労で作られていることを知れば米1粒でもおろそかにできないと思う。
 
 
地元製のインスタントラーメン。
例によって2人で分けて美味しく頂きました。
 
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June 23, 2017

映画 「101回目のプロポーズ」

20年以上前にテレビで話題になったドラマを中国でリメイクしたDVDを借りた。
50円で借りられるし結構面白いとの評判なのであまり期待せずに見たのだがこれが面白かった。ストーリーはほぼ原作に忠実だが男性の職業は工務店の親方という設定で、恋する女性は美人チェリストでこれは日本版と同じ。有名になったトラックの前に飛び出すシーンもあるけれどそれからが少し違っていて、押しの一手ではなく悩む彼女を何とかサポートしようと努力する姿が印象的。特に彼女の演奏用の椅子が合っていないとチェロの模型まで作って自分で作り上げてプレゼントするところがいい。最初はお金や地位などが大事だと考えていた彼女も彼が全力で自分を支えようとしてくれる姿に次第にひかれていく。
事故で死んだはずの彼が実は生きていて結局結婚式を挙げることになるがその記者会見のテレビで彼女がくちびるを噛んでいるのを見た彼はある決心をする。彼女がくちびるを噛むのは心から納得していない場合なのだ。お約束の指輪代わりのナットも出てきて2時間で実に上手にリメイクしているのに感心した。奥さんと二人笑ったり泣いたりしながら大満足で観終わった。主題歌” Say Yes"も流れるが向こうの歌手なので心配御無用。上海で制作されたためかとても清楚な感じの女優さんや日本ならどこにもいそうな男優さんのためか吹替えなら日本の映画と勘違いしそう。
気軽に楽しめるDVDとしてかなりおすすめ。



唐辛子の花だとか。花屋さんで。
 
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June 08, 2017

DVD 「鹿男 あおによし」

奈良の平城京跡の朱雀門のすぐ北を走る近鉄電車を門の南に迂回させるという計画があることを知り、朱雀門や近鉄電車が重要なキーアイテムになっているこの物語を思い出しました。
原作は奈良を舞台にした万城目学の不思議な小説ですが今回は2008年にテレビドラマとして放映されたもののDVDを借りて観ました。原作の小説の感想はブログに書き、テレビドラマのほうも記事にしたかも知れませんがもう記憶能力の外です。(笑)
奈良の女学校の教師になった主人公が鹿に命令され重大な儀式に用いる「サンカク」を手に入れるために同じ女学校の生徒と奮闘するというお話ですが荒唐無稽なストーリーなのにつじつまがよく合っているので矛盾など微塵も感じずDVDで5枚分(約9時間)を4日間で観終わりました。
剣道大会での女生徒の大活躍、朱雀門と近鉄電車そして女生徒と鹿、教師と女生徒との最後の別れのシーンなど感動と笑いと深い安心感など本当によくできた物語です。主演の玉木宏、多部未華子をはじめ綾瀬はるか、佐々木蔵之介など配役陣も豪華で先生や校長の名前が藤原、長岡、大津などかつての古都の名前を用いているのも楽しい。男女のドロドロもなく殺人もなく奈良の観光もできるとてもファンタジーなお話が10年近い前の旧作としてレンタルで5枚400円くらいで借りられるので一度まとめて観られることをお勧めします。
 
 
窓際の花、例によって名前が・・・(笑)。

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April 29, 2017

映画 「くちびるに歌を」

動画配信で見た映画。2015年に公開されている。
原作は中田永一の小説。長崎県の五島列島の島の中学校の合唱部が、アンジェラ・アキ「手紙~十五の君へ」の歌でNHK合唱コンクールの県大会へ参加するまでを描いたもの。
合唱部の顧問の先生が産休に入るため、東京でプロのピアニストとして活躍していた中学時代の友人が臨時教員として島にやってくる。美人の先生にあこがれて女生徒ばかりだった合唱部に男子の入部希望者が殺到し真面目な女子生徒と対立状態になるが先生はあっさりと混声で行くことを決める。しかし彼女はピアノは絶対に弾かないと宣言する。彼女にはピアニストを続けられなくなったつらい過去があったのだ。
部員には母親が死に父親が女を作って家を出た女生徒や毎日自閉症の兄の面倒を見ることが自分の生きる証なのだという男子生徒もいる。彼らは心の奥の痛みをこらえて合唱部で歌を歌うことで前に進もうという勇気を得ているのだった。彼女はそういう女生徒の懇請を聞くうち自分の甘えに気づき島に来て初めてピアノを弾く。そして本格的に合唱部の指導に取り組む。
決してサクセスストーリーではなく、共に歌うことで人生を前に進む、ということがこの映画のテーマなのだがコバルトブルーの海に囲まれた島での生活や小さな教会が島民の心の支えになっていることなど小説よりも映画のほうがわかりやすい。父親のことでからかわれた女生徒が先生の前でピアノの「ド」の鍵盤を押し、船の出航の汽笛は「ド」で2度鳴らせば出航の合図つまり前に進むということなのだと言うシーンが印象的だ。
ボロボロのトラックに乗るクールな先生役の新垣結衣もいいが家庭や家族の事情を抱えながら真剣に生きる生徒たちを演じる子役たちが生き生きとしてすてきだ。
小説を少しアレンジしているが納得のいくもの。
見てよかったといえる素晴らしい映画だ。
 
 
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April 22, 2017

映画 「数秒間のロマンス」

動画配信で見たもの。
5分20秒という短い映画でショートショートといわれる部類の作品。
近未来都市だろうか、頭上を無数のモノレールが走っているが車体はクラシックな造りだしレトロな信号機もある。街のたたずまいも中世を思わせるような雰囲気だ。
通勤途中の中年男性が停車中にふと反対方向の車両の窓を見ると美しい女性が本を読んでいる。思わず見とれる男に女性も気づく。慌ててメモを書いて見せようとする彼だったがすぐに電車は出ていくのだ。次の日に花束を持って見せる彼に彼女も笑顔を見せるようになったが気づかずにすれ違う日も続きく。思いつめた彼はある日窓のねじをドライバーで外し開けると緊急停止のレバーを引くが向こうの車内に彼女はいない。落ち込んで椅子に座った彼がふと気づくと横に彼女が立っていた。立ち上がって見つめあう二人。その時急に電車が発車し、よろけた彼女を彼がしっかりと支えるのだった。
一部の動画配信でしか見られないのであえてストーリーを書いたが最後のタイトルバックなどもフランス映画らしい粋さを感じる作品だ。
2015年の作品で昨年”FutureCity Yokohama Award”を受賞している。近未来の背景はアニメなのでアニメーション作品に分類されている。
 
 

今年は万博に行けなかったので去年のチューリップで。
 
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April 06, 2017

映画 「博士の愛した数式」

映像配信で見たもの。
小川洋子の小説をもとに2006年に公開された。原作の小説はそのころ知り合いになった中学校の数学の先生に勧められて読んでいたが映画のほうが少々の脚色はあるにしてもわかりやすくなっている。
事故のため記憶が80分しか持たないという風変わりな数学者(博士)とその家で働くお手伝いさんとその息子の物語であるが、映画の冒頭は数学の先生になったその息子がクラスで行う最初の授業風景から始まる。授業というより自分がなぜ数学の教師の道を選んだのかということを博士から教わった数学の不思議さと奥深さを解説しながら進めていくものだ。
素数、完全数、虚数、友愛数などとても分かりやすく説明されるのであるが終盤に博士が示すオイラーの公式はその難解さ故博士と義理の姉とのいまだに割り切れない愛情を示しているのかもしれない。
博士役の寺尾聰、お手伝いさん役の深津絵里や子役もいいが、なんといっても教師になった息子役の吉岡秀隆の明るく自然な演技がすばらしい。こういう先生に数学を教えてもらえば多くの生徒が数学好きになるだろう。
博士の80分という記憶時間や義姉との関係など割り切れない面もあるがてはここ数年間で見た映画の中で最も深い感銘を受けた。
  

 
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March 27, 2017

映画 「西の魔女が死んだ」

動画配信で見たもの。2008年に一般公開された。
原作は梨木香歩の小説で1994年に出版されている。
まいは大好きだった祖母が危篤だという知らせを受けて母の運転する車で向かう途中、2年前の中学1年生の時に不登校になり祖母の家で二人で暮らしていたころを思い出していた。イギリス人の祖母は、自分は魔女の血をひいており、予知できたり透視納能力があるのだと言う。魔女になりたいと言ったまいは祖母のいう「修行」をするのだった。修行というのは夜は決められた時間に寝て朝も決まった時間に起き、畑で野イチゴを摘んだり離れた場所にある鶏小屋から卵を取ってくるようなことだ。勉強も修行のうちに入っていたが何よりも大事なことは自分の意志で決める、ということだった。
山の中の一軒家で優しく穏やかな祖母と暮らすうちにまいは心の安らぎを覚えていたが、ある日諍いをして祖母が暴言を吐いたまいの頬を叩いたことから気まずくなってしまう。
やがて父親の転勤を機に母が勤めを辞めてまいと一緒に暮らそうとやって来た。大好きな祖母と別れることにまいは躊躇したが結局自分の意志で母と暮らすことを決める。そのとき料理中の祖母の手が一瞬止まった。祖母はまいと別れたくなかったのだ。別れの日、いつまでも車を見送る祖母の姿を見てまいは諍いの後、祖母に「大好き」と言っていなかったことを後悔するのだった。まいが「おばあちゃん、大好き」と言うと祖母はいつも優しい顔で" I know. "と返してくれるのだった。
 
いつまでも余韻の残るいい映画だ。
山の中の自然に囲まれた暮らしのなかで祖母が孫に生きるということ、そして死をも教えていく。「死んだらどうなるの?」と訊くまいの問いに「心が身体から離れて自由になるのよ」と答える祖母。そして亡くなった祖母の部屋にはその証拠があった。
なんといっても祖母の役を演じるサチ・パーカーがすばらしい。イギリス人ではなくアメリカ人そしてあのシャーリー・マクレーンの娘でもあるがしっとりとした演技に魅了される。

 


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