March 27, 2017

映画 「西の魔女が死んだ」

動画配信で見たもの。2008年に一般公開された。
原作は梨木香歩の小説で1994年に出版されている。
まいは大好きだった祖母が危篤だという知らせを受けて母の運転する車で向かう途中、2年前の中学1年生の時に不登校になり祖母の家で二人で暮らしていたころを思い出していた。イギリス人の祖母は、自分は魔女の血をひいており、予知できたり透視納能力があるのだと言う。魔女になりたいと言ったまいは祖母のいう「修行」をするのだった。修行というのは夜は決められた時間に寝て朝も決まった時間に起き、畑で野イチゴを摘んだり離れた場所にある鶏小屋から卵を取ってくるようなことだ。勉強も修行のうちに入っていたが何よりも大事なことは自分の意志で決める、ということだった。
山の中の一軒家で優しく穏やかな祖母と暮らすうちにまいは心の安らぎを覚えていたが、ある日諍いをして祖母が暴言を吐いたまいの頬を叩いたことから気まずくなってしまう。
やがて父親の転勤を機に母が勤めを辞めてまいと一緒に暮らそうとやって来た。大好きな祖母と別れることにまいは躊躇したが結局自分の意志で母と暮らすことを決める。そのとき料理中の祖母の手が一瞬止まった。祖母はまいと別れたくなかったのだ。別れの日、いつまでも車を見送る祖母の姿を見てまいは諍いの後、祖母に「大好き」と言っていなかったことを後悔するのだった。まいが「おばあちゃん、大好き」と言うと祖母はいつも優しい顔で" I know. "と返してくれるのだった。
 
いつまでも余韻の残るいい映画だ。
山の中の自然に囲まれた暮らしのなかで祖母が孫に生きるということ、そして死をも教えていく。「死んだらどうなるの?」と訊くまいの問いに「心が身体から離れて自由になるのよ」と答える祖母。そして亡くなった祖母の部屋にはその証拠があった。
なんといっても祖母の役を演じるサチ・パーカーがすばらしい。イギリス人ではなくアメリカ人そしてあのシャーリー・マクレーンの娘でもあるがしっとりとした演技に魅了される。

 


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March 10, 2017

映画 「駆け込み女と駆け出し男」

映像配信で見たもの。2015年5月公開作品。
幕府公認の縁切り寺とされた鎌倉の東慶寺を舞台にした映画。
原作は井上ひさしの小説「東慶寺花だより」。
離縁を訴える女は、まず御用宿で事情を聞きとられて了解を得たうえで東慶寺に入り、24カ月尼僧たちとともに修業を積まねばならない。なんとか寺まで来て、追手が迫った場合でも身に付けていたものや履物を寺の門の中に放り込めば駆け込みが成立する。大店の妾、夫が女をを家に入れて働かず一人で鉄の精錬をしていたため顔にひどいやけどを負った女、父親を殺されむりやり夫婦にされた女など様々な理由を持つ女たちが離縁を求めて駆け込んでくる。
わけありの妾のお吟役に満嶋ひかり、練り鉄(ねりがね)をしていた女じょご役に戸田恵梨香、御用宿に居候する医術の心得のある戯作者志望の男に大泉洋、その他樹木希林、堤真一、山崎勉など大物俳優も大勢登場する。ともすれば暗くなりがちな話だが大泉洋の明るいキャラクターが笑いも添えて楽しめる仕上がりになっている。
優れた練り鉄の技を持つ、じょごのセリフ「べったべた、だんだん」を調べたら出雲の方言で「いつもいつも ありがとう」と分かり(だんだん、は知っていたが)そういえば出雲地方の製鉄技術は大昔から有名だったと気が付いた。
お吟の満嶋ひかりの巧さはさすがだが、最後まで病のお吟の世話をしたじょご役の戸田恵梨香も熱演と言ってよく、これまで中途半端なトレンディドラマで見せた演技から一皮むけたようだ。いつもながら樹木希林の存在感は別格。人間関係が複雑なのと小声のセリフが聞き取りにくいのが難点だが十分楽しめる140分の大作だ。
 

 
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March 02, 2017

映画 「海街diary 」

映像配信で見たもの。2015年の公開作品。
14年前に他の女と家を出てしまった父親の死亡の連絡を受け葬儀に出かけた3人の姉妹は、女の娘つまり自分たちの異母妹に出会う。娘の母親つまり父親を奪った女も亡くなったため父は再再婚をしていて異母弟までいるのを知った長女は、継母の下で行き場が無いに等しいその娘に一緒に住もうと提案する。
女性向けの漫画雑誌に連鎖されているコミックを映画化したもの。監督は「そして父になる」の是枝裕和、看護士でしっかり者の長女を綾瀬はるか、信用金庫に勤める奔放な次女を長澤まさみ、おっとりマイペースな三女を夏帆、母親が違う姉妹の中で葛藤する四女を広瀬すずが演じる。
最初は若い女優さんたちが演じる他愛ない恋愛物語なのかと思っていたら複雑な家族の事情や仕事の上での現実的な話そして恋愛問題などが絡み合うストーリーと江の島周辺の湘南の四季の映像の美しさにいつの間にかひき込まれてしまった。零細企業の資金繰り、終末医療の現実など周辺の人々の厳しい現実を経験しながらいつしか姉妹は、自分自身の存在に悩む四女を中心に心を通い合わせ成長していくのだった。
父が出た後、結局姉妹を捨てた母親役に大竹しのぶ、亡くなった祖母の妹役に樹木希林、 その他堤真一、リリー・フランキー、風吹ジュンなどしっかり脇を固めた配役も功を奏して見終わったあといつまでも心に残る感動を覚えた。第39回日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞し、難しい四女役を演じきった広瀬すずが新人賞を取ったのは当然だろう。最初の期待値が低かっただけに上質の映画を見たという喜びが大きい。
 

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February 23, 2017

映画 「箱入り息子の恋」

映像配信で見たもの。2013年に公開された。
「逃げ恥」で役者としての地位を確立した星野源の初めての主演映画。
市役所に勤める彼女いない歴35年のさえない息子を心配して親同士での代理見合いをするが、相手の娘の父親は出世欲のない彼のことを相手にしようとしない。娘には事情があって、父親は十分な生活力のある男を求めていたのだ。しかし当人同士はひょんなきっかけで知り合って好意をいだきあう。しかし黙って付き合っていたことが父親にばれて会えなくなってしまった。ある日、彼女を忘れられない彼の涙ぐましい努力が実を結ぶのだが・・・。
星野クンはこの映画の演技で「逃げ恥」に抜擢されたとしか思えないほどの適役だ。娘役の夏帆も彼女の持ち味である透明感のある自然な演技がいい。彼と行った吉野家で一人で食べながら涙を流すシーンが秀逸。後半のドタバタがちょっと残念だが真面目な映画なので見て損はしないと思う。
 
 
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February 16, 2017

映画 「百円の恋」

動画配信で見た映画。2014年に公開されたもの。
30歳を過ぎても実家でぐうたらな生活を送っていた女が家を出る羽目になり、行きつけの百円ショップで働くようになるが近くのボクシングジムで練習する男に惹かれアパートで一緒に暮らすようになる。しかし結局男はボクシングを止め、別の女へと去っていく。男に捨てられた彼女はそのボクシングジムで必死に練習し、やがて念願の初試合を迎えるが・・・。
主演の安藤サクラは、この映画で日本アカデミー賞の最優秀主演女優賞に輝いた。けだるく生意気そうでいながら子供や弱者には優しいという役柄をうまく演じている。何よりもジムでのトレーニングを重ねるにつれ身体がしぼられ動きが俊敏になっていく様子を見るとこの女優さんの取り組む姿勢がよく分かる。試合の場面では映画の最初の場面からおそらく10キロは減量したと思われる風貌になっている。
NHKドラマ「ママゴト」でも友達のホステスに無理やり子供を押し付けられたがやがて母性のような愛情を感じていく役を見事に演じていたがこの映画での凄絶な試合のシーンを見るとこれぞ女優魂と思う。父親が奥田瑛二、母親の安藤和津は祖父に犬養毅をもち緒方貞子氏も親戚にあたるという家系にもおどろくが、そういうことは別として個人的に一押しの女優だ。
 
 

万博公園の梅林に咲く水仙。
 
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February 09, 2017

映画 「愛を積む人」

カテゴリーをDVDとしたけれど、動画配信で見た映画で、2年前に公開されたもの。東京での小さな会社をたたんで北海道の美瑛に住むようになった夫婦の物語。仕事が無くなって暇そうな夫に、妻は家の周りに石垣を作ってほしいと頼む。石垣を積む手伝いに来ている青年とその彼女、訳あって疎遠になった東京の一人娘などとの絡みで話は進んでいくが心臓の悪い妻の急死で、夫とその周りの人間との関係が新たな方向に展開していく。
エドワード・ムーニー・Jr.の小説「石を積む人」を原作とした映画だが石を積むことの意味に関しては原作の本質をとらえきれていないと思う。主演の佐藤浩市の演技が少し硬質なのと樋口加奈子もこの人の美点ではあるけれど感情の起伏の少ないのが少し物足らない。昔、問題を起こした一人娘役の北川景子がナチュラルなメイクもあって過去に暗い影を持った役を好演している。しかし、少々の物足らなさはあっても美瑛や周辺の山並みの映像の美しさを背景に進んでいく物語にいつの間にか引き込まれて二人でティッシュの箱半分を使ったのも事実。(笑)
感動作と言っていい。

 
 
久しぶりの万博公園の梅園。3部咲だけど近づく春を感じた。
 
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June 13, 2015

DVD 「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」

監督:塚本連平
ママチャリ(主人公のあだな):市原隼人
駐在さん:佐々木蔵之介
その他、麻生久美子、竹中直人・・・

見ている時間の80%はヨメさんと笑いころげていた。
こんなに面白い映画を見たのは久しぶりです。
もともとはブログに連載されたものが書籍化され2008年に映画化されたもの。
栃木の高校生が起こすいたずらを駐在さんが真面目に対処し、その仕返し、またやり返すという大人げない抗争の繰り返しだが根は心優しい彼らがある目的のために隣町で行われる花火大会の花火を盗むという行動に出る。
駐在さんのきれいな奥さんの過去も実は・・・という仕掛けもある。

ブログエッセイということだがコミックだと考えれば納得のいくストーリー展開で殺人や暴力沙汰、くだらない男女のからみもなく心温まるエンディングは家族みんなで見ても楽しめるもの。

駐在さん役の佐々木蔵之助がくそ真面目ながら彼らを心配する気持ちを上手に演じているのと竹中直人の存在感がさすが。他の役者さんたちもベテランぞろいで安心できる。

今は安くレンタルできるのでまだの方は見なきゃ損です。 
 
 
梅雨でもこういう風景はしっとりとして落ち着きます。
 
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May 13, 2015

DVD 「地上5センチの恋心」

2006年製作のフランス&ベルギー映画。
主演は「大統領の料理人」にも出演したカトリーヌ・フロ

夫を亡くし、働きながら息子と娘と3人で暮らす平凡な主婦が、大好きな作家のサイン会で会ってから恋心を抱き、彼が苦しんでいるときに一通の手紙を出したことから始まるちょっとファンタスティックな恋物語。
息子はゲイまがいで変な男を連れ込むし娘も反抗心丸出しで日本なら崩壊寸前とも思われかねない家庭だが、個人主義のフランス(舞台はベルギーみたいだが)らしく親子ともども何の干渉もしない。
はじめはただのオバさんだと見向きもしなかった作家も、やがて控えめで優しい彼女の魅力に気づくが、彼女は運命の人としか寝ないの、と彼の強引な誘いを拒絶する。

とにかく『おしゃれ』そのものの映画。
ふんわりと柔らかい映像で、彼女がウキウキしているときは地上から舞い上がるのだが、いかにも合成という映像がしゃれた雰囲気を醸し出していていい。
40代後半であろう主人公を同じ年齢層であったフロが大げさな演技も無く淡々と演じるのがとてもチャーミング。終盤、恋ではなく愛に変わったと彼に告げ、二人が三日月に乗って語るシーンはペーパー・ムーンのパクリみたいだけど、まさしく作り物に見える月がかえって二人の幸せを表しているようだ。
 
レンタルで借りたものだが夫婦でこんなに楽しめた映画は久しぶり。イケメンの若いお兄さんが好きな女性ではなく、中年のおしゃれな恋に憧れる女性に一押し。
 
 
 
芍薬とバラの恋?
芍薬の花言葉は、恥じらい、思いやりだとか。
 
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November 12, 2014

DVD 「阿修羅のごとく」

向田邦子の原作を2003年に映画化したDVDを借りて見ました。
監督は3年前に亡くなった森田芳光氏、配役陣は、八千草薫、大竹しのぶ、黒木瞳、深津絵里、深田恭子、桃井かおり、仲代達也、小林薫、坂東三津五郎、中村獅童といったまことに豪華な顔ぶれ。次女(黒木瞳)の娘役で長澤まさみも出ています。
原作を読んでいないのですが父親に愛人がいるらしい、という話を4人姉妹が母親に知られないように気を使いながら、しかし自分たちも他人ごとではない状況で事態が進んでいくという複雑な絡みを芸達者な役者さんが見事に演じて見せてくれます。深刻な話の中に巧みに笑いのシーンが入るのはこの監督の手腕でしょうか。
役者さんのなかでは大竹しのぶの演技に圧倒されますが特に桃井かおりとのシーンが圧巻。黒木瞳、深津絵里も上手。しかし、一番気に入ったのは、深津絵里と結婚するふにゃりとした何とも不思議なキャラの男を演じた中村獅童で、途中で何度も笑ってしまいました。彼にこんな演技力があったのだと見直しました。
夫婦で見るのでDVDを借りるときは奥さんも楽しめるようなものを選びますが今回は大当たりでしたheart04
ただ、向田氏の書いたものは当然とはいえ完全に女目線なので男から見ると少々面倒ですね。特に芸達者な女優さんが真っ向から演技すると息苦しくなるほどです。
まあ、男の中でも単純さでは群を抜いている私ですからsweat02

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September 29, 2014

DVD 「小さいおうち」

第143回直木賞を受賞した中島京子の小説を山田洋次監督が映画化したもので、若き日の女中タキを演じた黒木華は第64回ベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)している。
戦前・戦中と会社役員の家で女中をしていたタキが晩年になってノートに書いていた回想録をもとにしたお話。
親切な夫人とその息子に心から尽くした彼女だが、夫人と若い男性社員の間に起きた恋愛に関して家庭を思うあまり1度だけ夫人を裏切ったことに晩年になっても悩むのだった。
男性の下宿から帰った夫人の帯の位置(左右)が出かけた時と違うことに気づき悩むシーンは女性ならではの視点。
とにかく若い時の女中役の黒木華の存在感が抜群。
これぞ正真正銘の日本女性といった丸い顔立ちや一重の目で、雪深い田舎から上京した純朴な女中役がピッタリではあるがそれ以上に芯の強さが演技に表れるところがすばらしく、上記の賞を受賞したことに大いに納得した。朝ドラで花子の妹役でも出ていたが映画の方がはるかに良かったのは監督の力量か。
原作の小説を読んでいないが、映画では少し略されているようなのがちょっと残念。本の方が面白そうだが黒木華の演技を見られることではDVDがいいと思う。


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