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June 06, 2015

鶴我 裕子 「バイオリニストに花束を」

TsurugaN饗に32年間在籍した鶴我裕子(ひろこ)さんの本を久しぶりに読みました。やっぱり面白いなと思って読んでいたらところどころの記述に覚えがあるので本棚(少しだけど)を見たら文庫になる前の同じ本がありました。私もボケが進んでいるようです。(涙)
しかし何回読んでも面白いのは確かで、彼女が「カイシャ」と呼ぶN饗(文中ではN狂となっている)のことはもちろん客演指揮者、ソリストの表話、裏話、海外公演を含める演奏旅行の話をこれだけ楽しく読めるのだからボケて幸せです。ホント。
クラシック系のお話のなかでは日比谷公会堂で隠れて聴いたカラヤン、ベルリンフィルのゲネプロで打ちのめされたことが一番でしょう。大阪での実際の公演を聴いた私と全く同じ思いを書かれています。当時あまり良く言われなかったカラヤンを信じてレコードやCDを買ってきたのはあの時の50分ほどの体験があったからこそなんです。
他の指揮者では明晰なサヴァリッシュ、見栄や張ったりなどみじんもないヴァント、やはりロシアものがすごいスベトラーノフなど。ソリストでは小柄で幼顔ながら謙虚で凄腕のヒラリー・ハーン、ソプラノの名花アンナ・トモワ=シントウの優雅さなど、なるほど、やっぱりというようなお話が満載です。

クラシック以外では芸大を卒業してアルバイトで経験したヒットパレード系番組の伴奏でお目にかかったスターたち。天地真理の、歌は別にして(?)いつも笑顔を絶やさないプロ根性に感心したり、ダントツでカッコ良かった欧陽韮韮(オーヤンフィフィ)、私も記憶のある「ハチのムサシは死んだのさ」でヒットしたセルスターズのエネルギーのすさまじさなど、クラシックの音楽家だからといって決して上からの目線でない率直な感想もいいですね。
オフの時に見るテレビは音楽番組でそれも美空ひばり、吉田拓郎、南こうせつ、ムッシュかまやつ、中島みゆき、等々よーく分かります。

私は、売れなかった時代の五木ひろしが、これでだめなら国に帰ろうと22歳の時に出た全日本歌謡選手権で優勝した時の歌を通勤の車で聴いて心底感動した覚えがあります。まさしく命がけの歌でした。
その後安定してからは上手いけれどいやそれ故に口先だけの歌になっていくようなイメージがあります。功成り遂げて豪邸に住んでいる歌手が唇を震わせながら苦しい人生の歌を歌っても共感を呼ばないですね。

その他、真面目そのもの(と思われている)N饗の人たちが「びーた」「あご、あし」「しーめ」などの隠語を使うことなど「ヘーっ」って感じです。鶴我さんは演奏旅行を旅芸人のどさまわりと称していますが。

彼女のエッセイが面白いのは日本のクラシックの大御所ともいえるN饗の人が全く気取りのない文章で、しかもときどき「そうなのか」と感心させられるプロならではの指摘箇所があるからですね(悲愴の4楽章冒頭のメロディの弾き方など)。
楽しくてためになる本だと再確認しましたnote


 
万博のバラ園
 
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Comments

バルビさん

私は『バイオリニストは肩が凝る』を読んで鶴我さんの大ファンになりました。
『~花束を』は鶴我さんが定年退職するまでの数年間が書かれていてやはり面白いですよ。
N饗という生真面目なオーケストラの団員を永くされてこれだけ気さくな文章が書けるのは天才でしょうね。

Posted by: よし | June 04, 2015 at 05:38 PM

 全く奇遇ですね。私は、つい最近、この人の『バイオリニストは肩が凝る』という本を買い、その面白さに引き込まれました。『~花束を』は、その続編なのかな?
 オーケストラ音楽が好きな私は、このような本があると更に音楽好きが進みそうで、痛快です。今日は、佳い本の紹介、ありがとうございます。

Posted by: バルビ | June 04, 2015 at 04:54 PM

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