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May 20, 2015

「最強の相棒」第3回

 型どおり男性側から自己紹介が始まったが、ほとんどの勤務先は綾でも知っている一流会社や大手銀行だった。ちらりと女性陣を見ると、うわべは平静を装っているけれどみんな真剣な顔で男の品定めをしている。そして、彼女たちが一番反応するのは彼らの年収のようで、会社名、役職、年齢などであらかた推測できるのだろう、次第に綾以外の3組のカップルが決まりつつあった。

 結局、一人だけ「近藤浩です。会社はまあ中小企業ですが」と言った男と綾が残る形になった。お開きになった後「よろしければ、またお会いできませんか?」という男の言葉に綾は素直にアドレス交換をして別れた。最後に残った男だからではなく控えめで誠実そうな話しぶりに好感を持ったからだ。
もらった名刺には「○○株式会社 総務部 近藤浩」とだけ書かれていた。

 レストランを出て一人で家に帰る途中、綾はあまりに露骨な女性陣の対応に少々あきれていた。女が選ぶ男の第一条件って年収だけなのか。
そりゃあ、いい会社で収入の多い男と結婚できれば生活も安泰だろう。しかし、女の幸せってそれだけで決まるわけじゃないでしょ。若いときはいい男と楽しく恋をして、結婚相手を選ぶときは安全第一なのか。母は、綾が中学校に行くようになってからパートで働き出したし、父が部長になったあとでもスーパーのポイントとか割引を貯めて使うような人だった。そして綾はそんな母を尊敬していた。

 高校時代、女子サッカー部の主将だった彼女は、専門学校時代にときどき仲間としたフットサルでのシュートの威力も男以上だった。そして性格も男勝りな彼女に男友達は出来ても長続きすることはなかった。また、彼氏ができただけで大喜びする女友達の気持ちも分からなかった。

 綾は、親を説得して選んだ道であるカメラマンの腕を磨き、卒業後はその腕で自立することを真剣に考えていた。私は男に頼り切って生きる女にはなりたくない。逆に自分のことを本当に必要としてくれる男とならどんな苦労でもできると思っていた。
だから、他の女性たちへの反発心もあって近藤というその男と付き合うことにしたのだ。久保のことも考えたが、彼はいいお友達なんだと割り切ることにした。

 近藤は、控えめではあるが素直な性格で言葉遣いも丁寧だった。
3歳年上だというのにリードしがちな綾の言うこともよく聞いてくれた。「いいですよ」というのが彼の口癖だったが、無理に男の意地を通そうとしないそういう態度をかえって好ましく感じた。
驚いたのは、1週間に1度くらいのペースで会うときは必ず一流レストランのコース料理だったことで、3度目のデートのとき我慢できずに彼の素性を聞いてみた。

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