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April 30, 2015

三浦 しをん 『神去りなあなあ日常』

2014年3月 株式会社徳間書店発行
高校卒業後親と先生にだまされたような形で三重県の林業会社で働くことになった若者が携帯も届かないような山奥で厳しい林業の世界を経験し成長していく姿を描いている。
「Wood Job !」という映画にもなった。
聞いたこともないようなローカル線に揺られ、そのうち携帯が圏外になり山奥の駅で一人で降り、そこからは軽トラックで走るというへんぴな場所でしかも限られた人数での生活は想像を絶するが、最初はイヤイヤだった若い主人公も何とか適応してやがて林業生活にも慣れていく。
野獣のような生命力と体力を持ち、斧一本で狙う方向に木を切り倒せる先輩との漫才コンビのような掛け合いが楽しいが一歩間違うと命を失う仕事なのだ。
やがて小学校の先生をしている若い女性に恋をするがこんな山奥で暮らせるくらいだから一筋縄ではいかないしどうやら好きな男がいるらしい。
よそものとして最初は村人に受け入れてもらえなかった彼も山火事への対応や危険な巨大な杉の伐倒で一人前の男として認められる。
とくに千年杉を伐倒してその上に乗って山を下るシーンは読んでいても迫力満点。
きっと映画も大迫力だと思う。
「なあなあ」というのはこの地方の言葉で「まあ、いいじゃないか」という意味だが大阪では「なあなあでいこうや」みたいに使う。ほぼ同じ意味だと思う。

続編にあたる『神去りなあなあ夜話』では住民の詳しい話や過去に起きた悲劇も分かるようになり、彼女との仲も少し進展するが最後まで完結させないのは続編があるのかもしれない。
2巻を読み終わってこの作者らしい生命と死、そして自然との関係を考えさせられた。
一見若者の青春物語のように語られているが、裏にはこういった過疎で高齢化した集落にこそ若い働き手が欲しいという切実な思いがあるのだ。
『青年海外○○隊』といった活動も結構だが内地にも林業に限らず農業や水産業などいわゆる一次産業では人手の足りないところがほとんどだろう。特定の時期だけ必要で経験を要しない作業もあるので『青年内地活動隊』など組織してもいいと思う。
 
 
庭に咲いたシャクナゲ 植えてから初めて咲いたとか。
 
Img_1056m


 


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小説」カテゴリの記事

Comments

narkejpさん

確かに林業は厳しい仕事ですね。
映画が面白そうなのでDVDで見たいのですがなかなか借りられません。

Posted by: よし | May 02, 2015 at 01:18 PM

同じく、おもしろく読みました。映画は、残念ながら見逃してしまいましたが、DVD を借りてでも観てみたい気がします。以前の職場の関係でご縁のあった若い人が、帰郷して林業に従事しているとのこと、けっこう事故率が高いのだそうで、大きな怪我をしないようにと祈っております。

Posted by: narkejp | May 02, 2015 at 12:49 PM

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