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December 20, 2013

クリスマスの贈り物 12

 いきなりで驚いた。もちろん嬉しいけれど、知り合ってまだ2ヶ月にもならないので少し躊躇した。
「私のどこが良くて結婚しようと思ったんですか?」
 自分が彼の父親を助けたことで評価されたのなら、それは嫌だ。
 自分を魅力的な女として認めてくれたのかどうかが問題なのだ。
 孝は、父親が助けられたとき、誰もが知らん顔で通り過ぎていくのに、彩が連れの男と喧嘩別れまでして怪我をした父親を助けたことを聞いていた。でもそのことは胸の奥にしまっている。

「明るくて素直なところ、それから口を大きくあけて笑うとこ、かな」
 確かに彩はよく笑うし、手で口を隠したりしない。
 孝は、笑うとき口に手を当てる女性は嫌いだ。とくに両手で鼻をはさむようなしぐさを見ると「気取ってる」と腹が立つ。
 本当に上品に育った人は、そんなことをしないはずだ。

 また、彩のあっさりしたメイクやシンプルなおしゃれもいいなと思う。
 そして、何よりも孝の心をつかんだのは、彼女の言葉遣いがきれいだ、ということだった。
 普段の会話はくだけた大阪弁だけど、大事な話ではきちんとした敬語を使う、そういったけじめのある態度に惹かれたのだった。
 
「いや、どこがと言うんじゃなくて、彩さんの全部が好きなんです。だから、僕と結婚してください」
 孝は彩の手を取り、目を見つめて再び言った。
「ハイ、うれしいです」彩は、気持ちを一杯にこめて答えた。
 涙がこぼれ出る。
 次の土曜日に指輪を作りに行った。
 孝の行動は速く、あれよあれよという間だった。

 3月の終わりごろ、体調の異変に気づき、調べたら妊娠が分かった。 
 母にはすぐに報告した、が父親には内緒にしておいた。

 孝は4月に入ってから彩の家に来た。彩と並んで両親の前に座ると「彩さんと結婚することをお許し願います」と頭を下げる。
 父は、とうとう来る日が来たか、という顔をしていたが、母がつい、うれしそうに「彩ね、出来たのよ」と口走ったから、ややこしくなってしまった。

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