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December 11, 2013

クリスマスの贈り物 4

 ワインバーで4人でおしゃべりしたとき、恵美があれこれ彩の話で盛り上げてくれた。
 彩がソフトボールをしていたことから野球の話になる。彼女のポジションはショートだと言うと「ショートいうたら、やっぱり鳥谷やね」と恵美のカレが言う。
「いえ、私は大和のファンなんです」
「へぇ、あいつはセンターと違った?」
「最初はショートやったんですよ。めっちゃ上手でした」
「彩さんも上手やったんでしょ」とイサムが乗ってくる。
「いえ、ぜんぜんです」気乗りのしない返事でかわす。
 名前で呼ぶのはまだ早いんや。

 また、恵美が盛り上げにかかる。
「彩の手はホンマ大きいんよ」と、自分の手を合わせてくる。たしかに小柄な恵美より一回り以上大きく、並の男の手くらいはある。
 ソフトの練習が終わり着替えをしたあと、みんなで顧問の先生に挨拶をして帰ろうとしたら「伊藤、グローブ外してから帰れや」と言われた。
「もう外してますけど」
「そうか、それ、お前の手やったんか」

 みんな大うけだったが、やはり男の前で言われるのは恥ずかしい。どれどれ、と恵美の後でイサムが手を合わせようとしてきたので、さっと手を引っ込めた。
 その夜は早めに切り上げ、恵美たちは続きがあるようだったので、店を出てからお開きになった。
 帰り際に、恵美が寄って来てそっと訊く「どうやった?」
「カーブでしかもボール球や」
「あんた、何様や思てるの」あきれる恵美は、カレと腕を組んで雑踏の中へ消えていった。
 送る、としつこく迫るイサムに、クリスマスイブのデートを約束して何とか一人で帰ったが、携帯番号は教えなかった。

 イブの日に一人は嫌だ、という思いだけでデートの約束をしたものの、最初会ったときの目線を思い出し、地味な服を選び、下もパンツにした。夕食まではいいけれどそこから先はどうしょう、などと考えると気持ちが滅入る。
 そういう気分で出かけるときに、オヤジに「気をつけてな」と言われたのだった。

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