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December 13, 2013

クリスマスの贈り物 6

 15分ほど歩いたとき、目の前を歩いていた男が歩道の石につまづいて倒れた。
「あぶない!」彩はとっさに駆け寄った。もう老年と言っていい男は、倒れたときに右の腕と肩を強く打ったようで、なんとか上半身は起こしたが立ち上がることが出来ない。
 そばにしゃがんで「大丈夫ですか?」と声をかけたが、かなり強く打ったようでしばらく声が出ない。かなり痛そうなので骨が折れているのかもしれない。

「ええから、行こうや」寄ってきたイサムが言った。
 無視して「救急車、呼びましょか?」と言うと、「いや、大丈夫です」とやっとしゃべった。
「ほら、大丈夫言うてるやろ」
「何言うてるんですか、起きられへんのに放って置かれへんでしょ!」
「通りすがりの人の面倒見る必要ないやろ」
「困っている人を助けるのは当たり前やないの!」とうとう、いつもの彩になった。
「6時にレストランの予約してるから、そんなおっさん置いといて早よ行こ」

 彩の心の中で何かはじける音がした。
「遅れるのが嫌なら、あなただけ行ってください!」
「アホか、ホテルまで予約したのに一人で行けるか!」
 こいつ、とうとう本性を現したな。

「私は、この人を病院に連れて行きます。これ、レストランのキャンセル料」財布から1万円札を出して、彼の手に押し付けた。
 もう、彼の方を見ずに「おじさん、病院へ行きましょう」と声をかけたが、やはり立ち上がるのは無理みたいだ。バッグから携帯を出すと119を呼んだ。


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