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December 10, 2013

クリスマスの贈り物 3

 男嫌いではもちろんない。
望みが高いわけでもない、と思っているが、あるとき同じ会社の恵美に「もういいかげんにしたら。白馬の王子はおらへんよ」と言われた。
「白馬なんか言うてへん。バイクで来てくれてもええねん」
「へぇ、バイク王子ってコマーシャルでやってない?」
「それ、バイクを売るならバイク王、やんか!」

「そやから、彩が待っているツボってなんやの?」
「うーん、直球のストライクかな。カーブはいやや」
「直球ってどんなん?」
「私をまっすぐ見つめる視線、はっきりした目鼻立ち、きりっとした口元、背は私より高くて、太めはイヤ」
「ストライクの条件は?」
「笑顔がステキなこと、率直で、積極的で、正直で、スケベやないこと」
 黙って聞いていた恵美が、だんだんあきれ顔になる。
「カーブでも、とにかくストライクやったらええんやろ?」
「うーん、直球ど真ん中を待ってるんやけどね」
「あんた、一生独身やな」と、バッサリ切り捨てられた。

 でも、彩は、外見や容姿のいい男を待っているのではない。
 だらしない服装や落ち着きのない目線、よくしゃべるくせに肝心なことを決めようとしない態度、そしてうそをつく男が嫌いなのだ。
 そして、何よりも積極的に自分をリードして欲しいと思う。彩は決して強い女ではない。自分の部屋に入ってよく泣くし、外に出ると一人で食事も出来ない。ただ、理屈に合わないことをしたり、弱い人に優しく出来ない男が許せないのだ。

 恵美が、彼女のカレの友達でイサムという男を紹介してくれた。歳は28だと言う。
「もうすぐクリスマスやし、ぜいたく言わんと付きあってみたら」と紹介してくれたけれど、もうひとつピンと来ない。背もまずまず高く、やさしいマスクをしてるし、服装もおしゃれだけど、挨拶したとき上から下まで値踏みをするようにサッと目線を走らせたのが気になった。
 その日は珍しくミニをはいていたのだった。
 何となく獣のにおいがする。

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