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December 09, 2013

クリスマスの贈り物 2

 学校のブラスバンドで『ワルキューレの騎行』を聴いて、カッコいいなと思っていたが、空を翔る馬を操り、勇ましく戦って死んだ勇者を乗せて神のもとへ送り届ける乙女のことだ、と聞いてなおさら気に入った。

 中学から高校まではソフトボールに打ち込んだが、短大時代はそれなりに男友達を作ってデートもした。
 彩は美人ではないが、身長は162センチと高いほうで、ソフトボールをしていたおかげか、筋肉質だけどスタイルも良く、きりっとした顔立ちと姿勢のよさで見栄えがする。
たまにミニスカートをはくと、自分でも悪くないと思う。しかし、はっきりした性格だからなのか、男と付き合っても長続きしない。

 彩はぐいぐい引っ張ってくれる男がいいのに、「どこ行きましょうか?」「何食べます?」って、いちいち訊くなよ、と思うような草男(くさおとこ)が多い。
 たまに、強引に引っ張ってくれる男がいた、と思ったら最初のデートなのに例の場所へ連れて行こうとする。
 必死で車から降り、タクシーに飛び乗って逃げたことも何度かある。
「草でも獣でもない、フツーの男っておれへんのやろか」と真剣に悩んだ。

 販売とか営業が苦手だったので、就職は小さな工場系の会社を選んだ。
 面接のとき「弊社に応募した動機は?」と訊かれ、「社長の制服姿がカッコいいので」と答えて大笑いされた。後日、社長面接があり「私の制服どうですか?」と言われたので、率直に「ステキです」と答え、無事に合格した。
 入社のあとで部署の希望を聞かれたので、「制服で仕事がしたい」と言ったら工務課へ配属された。どうやら社長の印象が良かったようだ。

 もちろん事務仕事が大半だが、彩だけは工場のおじさんたちと同じ制服を着て、時には軽トラックでヘルメットや安全靴を運んだりもする。
 体格のいい彼女が制服を着て現場をうろうろしても違和感はなく、おじさんたちは親切だったが、若い男性が少なく、それらしい出会いの無いのが寂しい。


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