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November 18, 2013

池井戸 潤 「ルーズヴェルト・ゲーム」

Ikeido112012年2月 講談社 発行
この作者ならではの緊迫した企業小説。悪化する外部環境のため、リストラを余儀なくさせられ悩む幹部たちと、そのなかで存続の危機を迎える野球部のメンバーの葛藤を同時進行で描いていく。自社を守るためには容赦ない要求を突きつける大手取引先と体力勝負でコストダウン攻勢をかけてくるライバル会社。主要メンバーともどもライバル会社の野球部に移った監督や、過去のトラブルを流して遺恨を晴らそうとする選手など、会社も野球部も大波に翻弄される小船のごとく揺れる。
とにかくこれでもか、というほどの難題が山積し、極限まで追い詰められていくストーリーはこの作者ならではのもので、最後まで集中して読み通させる。
ただ、人物描写は大雑把でありきたりで、特に女性に関しては年齢が分かる程度の書き分けだし、主要人物の家庭もほとんど描かれない。男女のからみなどまったくないけれど、それだけ本体の流れが読み手に明確に伝わるのがこの作者の長所だと思う。仕上げは荒いけれど、全体の造形からのメッセージがはっきり伝わるという意味で男の小説といっていいだろう。
ルーズヴェルト・ゲームとは、野球の好きな方なら良くご存知と思うが、野球の試合と企業の存亡の戦いの進行状況を巧みに表した題名だ。
 

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