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October 26, 2013

浅田次郎 「赤猫異聞」

Akaneko2012年8月 新潮社 発行
明治元年の暮れに起きた火事のため、伝馬町牢屋敷の囚人を一時的に解き放ったいわゆる「赤猫」で、重罪であった3人の囚人が揃って戻った事件について後の市谷監獄署長が当事者から直接事実関係を調査するという聞き取り形式で進む構成になっている。
親分に代わって賭場の罪で入牢した男、与力に裏切られて捕まった女、維新後も官兵を何人も切った旗本の倅など、まだまだ遺恨の残っていた3人は、約束どおり戻らねば道義、正義を信じて3人の解き放ちを主張した穏やかな牢役人が切腹することを思い、鎮火後にもどる。
そして、正式に放免されたあと、8年後には皆それなりの地位を得るまでになっていた。
道理を通し、正義に働く者には神意仏意が働くということなのか。
しかし、聞き取りを進めるうちに彼らが抱えていた遺恨を晴らしてくれたのは、思いもかけない人物であったことが判明する。
物語の最後に出てくる教え「法は民の父母(ちちはは)なり」という言葉を信じて行動した一介の牢役人が実際の主人公ともいえる。
いつものように浅田次郎の筆運びの上手さに乗せられてあっという間に読み通した。「土壇場」「ぼんくら」「の語源など話の合間にチラリと挟む上手さも相変わらず。

 

 

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