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October 15, 2013

山崎豊子 「暖簾」 第二部

山崎豊子全集1 から
「暖簾」は第二部もあり、第一部で昭和20年の大阪空襲で店を失ったあと吾平が倒れ、次男孝平の力で再び以前の立売堀(いたちぼり)に店を再建する話が描かれている。
孝平は堺で昆布を仕入れ三宮の闇市で売りさばいたりして次第に商売を復活させるが、戦後は昔のような暖簾商売ではなくビジネスといった趣に変わり、その場所も名実ともに東京が中心になりつつあった。
東京に進出する大百貨店に売り場を確保できたため、孝平は最高級の塩昆布を出そうと決める。
塩昆布に決めたのは、食通やお茶人が多い東京には風雅で、お茶うけにも合う塩昆布が喜ばれるだろうと考えたからだが、孝平が丹精こめて作ったものは百匁(約400グラム)で五百円(今の1万円くらい)もの価格になった。
「こんなん高すぎて売れへん」と反対する経理担当の弟。大阪人の買い物の決め手は「安くていいもの」なのだ。
しかし孝平は、東京の大物財界人の「東京では高くてもどこにも無いものなら買う」という言葉を聞き、反対を押し切って出品する。
雑誌や新聞で評判をとった商品は品切れを起こすほど売れ、やがて大阪の売り上げを超すまでになる。

第二部では、東京を中心に動くようになった戦後日本経済の変遷を客層やマスの大きさの違いなども含めて巧みに描いている。
あとがきで、東京と大阪を頻繁に行き来するようになったと書いている通り、ビジネスの場が東京になっていても生まれ育った大阪を愛する作者が、明治、大正、昭和と親子二代に亘って描いた浪速商人の物語は平成の今では遠い昔話のように思えて懐かしい。
 
 

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