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July 18, 2013

さだまさし著 「眉山」

Bizan幻冬舎。さだまさしの小説ということで最初はすこし不安があったけれど、途中から面白くなってかなりのスピードで読みきってしまった。入院した母の症状が芳しくないということでヒロインが故郷徳島に帰ってからのさまざまな出会いと別れのお話。末期癌の母、恋、私生児である自分の父親との出会いなどを8月の阿波踊りをクライマックスに配置して上手くまとめる筆力はたいしたもの。
とくに江戸っ子である母親が、病院で心ない言葉を交わしていた医者と女性看護師に向かって切った啖呵が胸のすくよう。その他の粋なエピソードを知るほどに、本当の主人公はこの人ではないかと思うほど魅力的な母。
阿波踊りのとき、一生を賭けた大好きな男とすれ違ったときも決して視線を送らなかった母。
後をふり向かず、過去を引きずらない潔い生き方だから、と娘は思ったけれど本当は老いた車椅子姿の男を見たくなかったのだと思う。
一生に一度だけ惚れた男の姿は若いときのまま脳裏に焼き付けて死んでいこうと決心していたのだろう。
徳島の言葉は神戸の言葉に近いので通訳不要なのがありがたい。
有名だけどそれほど興味の無かった阿波踊りが見たくなった。
読後の爽快感がすばらしい秀作note
 


 
 

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「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

Comments

u子さん

弱者への思いやりの無い人間には徹底して立ち向かう強さがあるからこそ人を心底愛し、また一人でも生きてこれたのでしょう。
私もお龍さんの大ファンになりました。

Posted by: よし | July 19, 2013 at 03:14 PM

よしさん

>後をふり向かず、過去を引きずらない潔い生き方だから、>と娘は思ったけれど本当は老いた車椅子姿の男を見たくな>かったのだと思う。

「この地でちゃあんと生きてきました」と姿を見せることで伝えたように思います。いずれにせよ、背筋を伸ばし、毅然として生きた主人公の母親に拍手!です。

Posted by: u子 | July 19, 2013 at 11:00 AM

u子さん

小説は余芸かなと思っていたのですが、すっかり裏切られてうれしい誤算です。
茨の木、かすていら、早速読んでみます。
かすていらはテレビで放映中ですね。

Posted by: よし | July 19, 2013 at 07:31 AM

よしさん
さだまさしの小説は、読みやすくて、気に入っています。
茨の木、かすていら、も感動しました。

Posted by: u子 | July 19, 2013 at 12:32 AM

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