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July 16, 2013

伊熊よし子著 ミッシャ・マイスキー「わが真実」

Maisky小学館発行。インタビューをしているときに著者が耳にしたひとことからマイスキーの人生の厳しい経験を知り、彼の音楽の聴きかたが変わった、と冒頭に書かれている。ソ連時代のラトヴィアの結構裕福な家庭で育ったがユダヤ人であるが故に父は職を失い、その父の死の悲しみを乗り越えてチャイコフスキー・コンクールで入賞したあとも罠にはめられ投獄される。KGBの一方的な取調べの後、4ヶ月拘留されたあとは強制収容所に送られて1年半もの間、毎日セメントをトラックに積み込む労役が待っていた。肺の中にもセメントが入ってくるのが分かるような過酷な作業の中でも、チェリストの命である指だけには充分に注意を払ったため変な筋肉だけが付いたとか。
やっと出所できたあとも、すぐに移民の申請をすれば必ず兵役に取られるために、ユダヤ人の友人の紹介で精神科の病院に2ヶ月入院する。2ヶ月も精神科に入っていたら徴兵されないからだ。
ソ連という国の恐ろしさはまだまだあるけれど、書くほどに心底気分が悪くなるのでこの辺りで終わり。
話の後半は、先にソ連を出ていた姉の尽力でイスラエルに出て、努力の積み重ねと幸運も味方して多くの一流アーティストと共演し、一流チェリストになるまでの道のりが書かれている。
 
小さいときのあどけない可愛さから成長して優しい目をした青年へ、そして復活したキリストのような風貌の現在の姿をみてもこの本を読む前はこれほどの苦難があったとは想像もできなかった。そういう意味で貴重な一冊と言える。クラシックファンならお馴染みの演奏家がたくさん出てくるのも楽しいnote


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