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September 09, 2012

高田 郁 「小夜しぐれ」

Sayosigure高田郁の「みをつくし料理帖」の第5巻。この巻まで来ると、主人公の周りの人間の過去や人生に係わる仔細が明らかになり、それまで表に出てこなかった第2第3の主題が動き出します。もちろん料理の話が中心ですが、このシリーズを貫くドラマの行方が何となく見えてきます。各巻には4つの話が納められていますが、その1つで標題でもある「小夜しぐれ」は、仲良くなった大店の娘の婚礼料理を心を込めて作るお話、そしてもうひとつの「夢宵桜」は、幼馴染の居る吉原で花見の宴の料理を作るお話ですが、こちらは相当スリリングな展開があって今までとは一味違った趣で楽しませてくれますnote
作者が自身でも作るという四季折々の料理もすばらしいけれど、江戸の町並や市井の人々の暮らしぶり、そして季節の移り変わりのきめ細かい描写などこの作家の表現力のすばらしさにいつも感心します。特に大坂との食材や調理そして食べ方の習慣の違いなど小さいときから阪神間で暮らした私には「へえー!」と感心することばかりです。この巻ではありませんが、蒸して食べる「ぬく寿司」は京都で「蒸し寿司」と言われ、以前食べたことがあります。家でもチラシ寿司が冷たくなるとレンジで軽く暖めて食べますが、おいしいですよ。
こうやってシリーズで読んでいくと江戸は徳川のお膝元であり、武士が多く住む町なのでどちらかというと商人の町である大坂のどこか気楽な雰囲気とは違うことが良く分かります。一言でいうと良くも悪くも「組織とルールの町」でしょうか。これは現在も原則的には変わらないと思います。

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